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はじめに:突然届く「年度更新のお知らせ」…これって何?
6月に入ると、多くの会社に「労働保険料の申告書」が届きます。
封筒を開けて、「あれ?毎年これ出してるけど、いまだによくわからない…」という経営者・担当者も多いのではないでしょうか。
「労働保険って何?」
「年度更新ってなにをするの?」
「うちって電子申請じゃないとダメ?」
今回は、そういった疑問にお答えしながら、2025年度の申告手続きのポイントと、実務での注意点をわかりやすく解説します。
労働保険とは?まずは言葉の整理から
「労働保険」とは、以下の2つをまとめた総称です。
労災保険(仕事中のケガや通勤災害の補償)
雇用保険(失業給付や育児休業給付など)
どちらも、労働者を雇っている事業所は必ず加入しなければならない保険です。
🔗【参考リンク】
厚生労働省|労働保険制度について
年度更新とは?何のためにやるの?
「年度更新」とは、毎年6月1日〜7月10日までに行う、労働保険料の申告・納付手続きのことです。
前年に支払った給与額などをもとに、
「昨年度の労働保険料の精算」と
「今年度の見込み額による概算保険料の申告」
を同時に行います。
年度更新のイメージ
年度更新の対象 | 内容 |
---|---|
確定保険料 | 昨年度(2024年4月~2025年3月)に実際に支払った給与に基づく精算 |
概算保険料 | 今年度(2025年4月~2026年3月)の見込み給与に基づく前払い分 |
いつ・何を提出する?申告スケジュールと方法
提出期間
2025年6月3日(月)〜7月10日(水)まで
※ 期限を過ぎると延滞金が発生する可能性があるため、早めの準備が必要です。
提出先
管轄の労働基準監督署(紙提出の場合)
または、e-Govを通じて電子申請
🔗【参考リンク】
厚生労働省|年度更新手続きについて(パンフレットPDF)
実務で必要な情報とは?
申告書を作成するには、主に以下の情報が必要です。
前年(2024年4月〜2025年3月)の全従業員への賃金総額
雇用保険対象者の人数・賃金の内訳
業種ごとの労災保険料率(※変動あり)
労災保険料率は業種によって異なるため、「うちは何業?」という点も確認が必要です。
🔗【参考リンク】
厚生労働省|労災保険料率一覧
よくある質問(Q&A)
Q1:零細企業でも申告しないといけないの?
→ はい、1人でも労働者(アルバイト含む)を雇っていれば必要です。
Q2:社長1人の会社は対象?
→ 代表取締役は原則「労働者」ではないため、対象外です。ただし、家族従業員などがいる場合は対象です。
Q3:電子申請しないといけないの?
→ 従業員が常時5人以上の法人などは、電子申請が原則義務化されています(一部例外あり)。
社労士からのひとこと:年度更新は“労務管理の健康診断”
毎年のルーティンと思われがちな年度更新ですが、実は労務管理の質を見直すチャンスです。
雇用保険の加入漏れはないか?
社員区分(正社員・パート・出向など)は適切か?
料率の見直し漏れはないか?
うっかり「未加入アルバイト」がいないか?
こうしたチェックを後回しにすると、後に遡って数年分の追徴処分を受けることも。
社会保険労務士に相談することで、リスクを未然に防ぎ、スムーズに申告が完了します。
まとめ|年度更新を「ただの事務作業」にしないために
労働保険の年度更新は、義務であると同時に、会社の労務管理レベルを映す“鏡”でもあります。
「去年と同じで…」ではなく、
「今年はこれを見直そう」と考えるきっかけにしてみてください。
✅「申告に自信がない…」
✅「手続きが複雑で困っている…」
✅「ミスなく進めたいけど、人手が足りない…」
そんなときは、ぜひ労務のプロ=社労士にご相談ください。